とげのひと 2
で、その日から、夜寝るときはヘッポコ丸のところに行くことにした。
ヘッポコ丸は、優しいし、静かだし、安心して寝かせてくれる。
首領パッチなんかより、ずっとこっちがいい。
「最近、首領パッチ、元気ないのら〜」
田楽マンが言った。
「元気ない〜?あいつも寝不足だからじゃねーの?」
元気ないことはないと思う。さっきも、あいつに蹴り飛ばされたばっかりだし。
「なんかー、機嫌悪くて、オレに八つ当たりしてくるし」
「いつものことじゃねーか」
「いつもより、ずっとタチが悪いのらー」
「ふ〜ん・・・じゃ、近づかないように気をつけとくか」
「・・・・・・お前、鈍い・・・」
「はぁ?何で?」
「首領パッチがあんななのはぁー・・・」
そこまで言ったら、田楽マンが止まった。
「・・・・・・やっぱ、ヘッポコ丸に訊いて」
「うん・・・?わかった」
言われた通りにヘッポコ丸に訊いてみたけど、ヘッポコ丸は教えてくんなかった。
ボーボボに訊きに行くって行ったら、また止められた。
首領パッチのことをあいつに訊くのはダメらしい。
そんなことをしてるうちに、どこに行ってたのかは知らないけど、首領パッチが戻ってきた。
「お前さー、最近寝不足なんだって?」
さっき田楽マンと話してたことを言ってみる。
「はぁ?何言ってんの?」
「え?何か機嫌悪いとかって、田楽マンが言ってたぜ?それにさ、
こないだ、夜中に起きてたりとかしてたじゃねーか」
「・・・・・・お前さ、今、ヘッポコ丸のトコで寝てるんだったよな?」
「そーだけど?」
いきなり話題が変わったから、少し驚いた。
「それって、何でなんだよ?」
「そりゃーさー、お前が起こすからだって。昼から眠くて眠くて」
「それでヘッポコ丸んとこ行ったのか?」
「そーそー」
「お前から行くって行ったのか?」
「いやー、よく寝れないって言ったら、オレんトコで寝ればって言われた」
「・・・・・」
首領パッチから変なオーラが出てきた。
何でだか全然わかんねーけど、メチャクチャ怒ってるみたいだ。
「・・・・・・・あのガキィ・・・」
「どうしたんだよ?」
「お前さ、オレよりヘッポコ丸の方がイイわけ?」
「はぁ?」
「どうなんだよ!」
「・・・うーん・・・まぁ、ヘッポコ丸は、オレのこと蹴ったりしないからな」
「・・・・・・・・・・待ってろよ」
首領パッチは、そう言うと、物凄い勢いで走って行った。
どこに行くつもりなんだ?
首領パッチとヘッポコ丸はライバル・・・だと、首領パッチは思ってます。
首領パッチはヘッポコ丸に冷たいし、ヘッポコ丸も首領パッチに冷たい気が・・・。
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