とげのひと 3
「天の助・・・今日からまた元のとこで寝ろよ・・・」
やっと帰ってきたと思ったら、首領パッチは変なことを言い出した。
「何で?
・・・ってかさ、お前今、何してきたの?」
「別に、何だっていいだろ」
オレとしてはあんまりよくない。
首領パッチの体には、いっぱい、血みたいなものがついてる。気になんないハズがない。
・・・一体誰の血なんだよ・・・
「・・・元の場所で寝んのはいいんだけどさー、夜、起こすなよ?
オレってデリケートだから、寝不足になると食感が悪くなっちゃうから」
「わかったよ。起こさねーよ」
そういうことなら、まぁいっか。
「じゃあ、今日から違うとこで寝るって、ヘッポコ丸に言ってくる」
行こうとしたら、首領パッチが思いっきり腕をつかんで引っ張った。
「今は駄目だ」
「はぁ?」
最近、理由のわからない”駄目”が多すぎる気がする。
オレだって、いい加減苛々が溜まってきた。
「あんな奴は放っといて、あっち行くぞ」
それに、こんなにずっと素な首領パッチも気持ち悪い。
「ヤダ!」
首領パッチに掴まれた腕を力いっぱい引っ張った。
腕が少しかけたけど、これくらいオレにとっちゃなんでもない。
「な、お前!!」
首領パッチが走って追っかけてくる。
ところてんジェットで逃げれば、いくらあいつでもおいつけないもんねー。
真拳使いをなめるなよ!
ヘッポコ丸の姿が見えた。
寝てんのか、ぐったりとして木に寄りかかってる。
「おーい、ヘッポコ丸ー!」
あれ?
何だか様子が変だ・・・。
段々近づいていくと、ヘッポコ丸が血まみれなのに気が付いた。
「わー!おい、大丈夫か?!」
揺さぶって声をかけても、全然反応がない。
おいおい、本当大丈夫か?白目むいてるし・・・
「ヘッポコ丸〜」
「てめぇー・・・このオレを無視するなんて、やってくれんじゃねーか・・・」
ぜぇぜぇと息をしながら、首領パッチが着いた。
「これ、お前がやったんだろ!ヘッポコ丸が気ぃ失ってんじゃねーか!!」
首領パッチは気まずそうにそっぽを向いた。
あいつらしくなさすぎて、すっげー気持ち悪い。
・・・本当に何なんだよこいつ・・・
「・・・・・・どうしたんだよ?」
何か心配になって聞いてみたら、首領パッチが急に怒った顔をした。
「お前さぁ、いくらなんでも、そろそろ気づけよ!」
「はぁ?何が?」
「鈍感すぎんだよ!っていうか、もしかしてわざとか?
オレらをもてあそんで楽しんでるってワケかっ?!」
首領パッチが恐い顔で詰め寄ってくる。
「何言ってんのおまえ・・・。逆ギレですか〜?」
冗談半分で言ったら、首領パッチがもっと恐い顔になった。
おやびん乙女モード。へっくんはいつでも被害者です・・・(弱いから・・・)
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