分分し
あいつは馬鹿で正直そうな顔をしているが、本当は恐らく、誰よりも冷たくて、誰よりも激しいヤツなんだと思う。
どこまでもオレの思い通りにはならない。
ヘッポコ丸の前では、弱くてうるさいだけのヤツで、ボーボボの前では本当に無力なフリをして。
俺の前では、あいつは、全てに興味を失った顔になる。
久しぶりに二人きりだった。
こいつが眠っている間に他の奴らは買い物に行ってしまった。
「ふわーーーー、よく寝た・・・」
天の助が起きた。
それからキョロキョロとまわりを見回して、オレしかいないことに気がついた。
「んー?みんなは?」
「買い物に行くってよ」
「ふーん。そう」
そう言ったっきり、天の助は黙ったままだ。
背中合わせの沈黙が気まずくて、オレは無意味に口を開いた。
「・・・なぁ、お前さぁ」
「・・・うん」
「・・・最近どうだよ」
「は・・・?何が?」
「色々だよ、色々」
「なんだよそれ・・・。別に。ふつーじゃねーの」
「・・・・・・・・」
オレも、何が言いたいのかわからない。
「・・・・・・仲間が増えて、味方か敵かもよくわからない連中も増えて、お前・・・どう思う」
何でもいい。
二人でしか話せないこと。
オレに話してもいいとおもってること。
とにかく、何でも。
こいつはオレに興味を持ってないから、代わりにオレが何でも知ってやる。
おかしな意地だ。
「・・・そもそもオレだって、敵じゃねーか。元毛狩り隊Aブロック隊長って、
消されててもおかしくないし」
「そーだけど・・・」
「オレは実際、どうだっていいと思ってる。
ポマードリングに置いてかれたときだって、用済みになったんだから当たり前だと思った。
ボーボボには一度拾ってもらったし、別に冷たくされてもかまわない。
あいつが拾うっていうんなら、大っ嫌いなOVERだろうが何だろうが、どーでもいい」
「・・・・・・・・」
オレは多分、天の助を怖がっている。
どうしてあんなにも、いろんなものに無頓着でいられるのか。
たまに見せる寂しそうな顔がその答えのような気がして、無性に悔しかった。
ヘッポコ丸はやさしくあいつを抱きしめて、あいつはそれを喜ぶのに。
オレにあいつは、何一つ要求してはくれないのだ。
「お前は・・・・・」
天の助が、オレンジの美しい瞳でオレを見た。
ウルウルとして、いつでも泣いているような瞳だった。
「お前は、なんかいつも、一人だよな・・・」
「・・・・・」
天の助は不機嫌になるでもなく、ほんの少し目を細めただけだった。
「そうだ。オレはお前と違って、ずっとずっと一人だ」
”お前と違って”
なんて、決定的な台詞だ。
「オレは・・・」
勝手に口が動く。
悲しんでいる。オレは。
「オレは・・・」
オレだって、一人だ。
オレはお前を一番近くで抱きしめられる。
オレが一番、お前を理解できる。
そう言ってしまいたかった。
鼻で笑われるとわかっていたから、何も言えなかった。
ヘてん前提のパッチてん
天の助はへっくんのことは好きだろうけど、多分首領パッチのことは嫌いなんじゃないかなぁとナチュラルに思っているので、
こんなんばっかになってしまいます。かわいそうなおやびん・・・。
うちの天の助は寝てばっか。
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