胸懐2



 















確かに後悔はしていない。

・・・けれど・・・

もう、夏侯惇と一緒にはいられなくなるかもしれない。

それを思えば寂しくて、ますます慕わしさがつのっていく。














――――――





・・・愛しい・・

・・・俺は、貴様のことが、愛しい。



呂布は確かにそう言ったのだ。

己の傷を眺めても、美しいと。

・・・己のすべてを、見たいと。


「・・・なんだ、あいつ・・・」

呂布はおかしい。

俺が倒れたからって、戦を放って駆けつけて、
目を覚ますまで、ずっと黙って傍にいて、
目を覚ましたら覚ましたで、また、ずっと傍にいて・・・。

・・・こんなに醜い傷を毎日眺めて。

・・・俺を愛してる、だなんて。

「・・・馬鹿だ」

冗談だ、と笑えてしまえたら。

単なる一時の過ちだと、忘れさせてしまえたら。


けれど、呂布はいつでも真剣だった。

冗談や思い込みで、あんな顔はできはしない。あんなやさしくなれもしない。


以前、自分の部屋で、呂布が自分を抱きしめた、あの時。

あの時も、やつはあんな顔をしていた。























「なぁ、何かあったのか・・・?」

呂布が今までにないくらいに情けない顔をしていたので、太史慈は驚いた。

いつもは自信にあふれている瞳が光を失って、しゅんとなっている。

「・・・・・・」

問いに答えることなく、呂布は頼りない足取りで太史慈の横を通り過ぎようとする。

「お、おい、大丈夫か?」

太史慈の心配した声にも、呂布は力なく頷くだけだ。

足音だけは重たく、それでもまるで幽霊のような様子で、呂布は自分の居室に消えていった。


  ・・・夏侯惇殿に何か言われたのだろうか?


太史慈の疑問に、今回も、答えてくれる者はいない。
















 


間が空いてしまいました;
そろそろ加速・・・したい・・・!(展開的にも)

 


 戻る。

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送