夏侯惇が重傷を負った模様


それだけを聞いて、一瞬呆然となる。

帰ろう、早く、一刻も早く。

考えるより先に、呂布は馬首を返していた。





泣き言ばかりも言ってられない。


様々に処理をこなしながら、太史慈は思う。

こんなことになったのも、自分と夏侯惇が油断していたからだ。

命を拾っただけは良かったが、これでは一体、先がどうなってしまうか知れない。

夏侯惇の容態もそうだったし、軍の存続自体もまたそうだった。


やはり呂布が居たからここまで何もなかったのだと、太史慈は再確認した。



「戻ったぞ!」

呂布が、土と血に塗れた姿で城門をくぐった。

あの赤兎馬が息を切らしている。

「夏侯惇は!」

呂布が迫ると、文官は恐怖に身を竦ませながら、夏侯惇が眠る部屋の方向を指差した。

「生きているか!」

コクコクと頷くと、呂布はやっと掴んだ胸倉を開放した。

ドスドスと床を踏みしめて、件の部屋へと向かう。

その口元は震える呼気を吐き出して、小刻みに動いている。
青ざめた顔色と唇は、返り血の中にあってよりいっそう、青い。





「・・・・・・」

打ちのめされて、言葉もない。

そんな呂布を見つつ、太史慈はとにかくできる限りをやる。

残っていたくせに、何をやっていたのだと、呂布に散々叱責されるであろうと思っていたのに。

帰って来た呂布は何も言わず、ただ祈るように目を伏せて顔を伏せて。

「・・・すまない。俺がもっとしっかりしていれば、夏侯惇殿は・・・」

「黙れ」

呂布は、顔も上げずに言い放つ。

「言い訳はせん。ただ、すまなかった」

「それは、夏侯惇が起きてからあいつに言え」

「・・・わかった。

 ・・・夏侯惇殿のところへは行かないのか?」

「俺は医者ではない。行ったところで、何ができるという」

「それはそうだ。ただ、お前が相当心配しているようだから、
 傍に居させてもらえば良いのではないかと思ったのだが。
 
 目の前で見守っていれば、少しは和らぐのではないか?」

太史慈に言われて、呂布はやっと顔を上げた。

「・・・俺が居ては、邪魔になるのではないか?」

「それは医者に聞いてみてくれ。俺では何とも言えん。平気だとは思うが」

のっそりと腰を上げた呂布は、重い身体を引きずるようにして歩いた。




















 





いい人と5題:「……意外、」

また惇兄が出ず。
太史慈はイイコで、見てると安心します、無双2からあんまり変わらなくて。

 


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