無双5えんぱねた

〜しょうもないデレ惇〜



           裏工作



 
   
   




夏侯惇がまだ曹操の下にいたころ。









「殿〜そんなに難しい顔して何考えてるんですかぁ?」

「いや、な。そろそろ元譲を戦に出してやろうかと思ってな・・・」

「おー!やっとですか!」

「うむ・・・まだ心配ではあるがな」

「いやいや!あんだけ武具揃えてまだ何が心配だっていうんですか」

「何を言うか、どれほど手を尽くそうが心配だらけだっ!!」

「・・・いくら武勲溜まってないとはいえ・・・惇兄って元々つえーし、大丈夫だと思うんですけど」

「お前は何もわかっておらんな」

「え?」

「前にも言ったであろう。元譲欲しさに出兵してくる勢力が四方八方を囲んでおる。
 ・・・さらわれればどうなるか」

「・・・その心配も、俺にはちょっと意味がわかんないんですけど。
 っていうか、何書いてるんです?」

「これか。・・・元譲を守るための手立ての一つだ」

「?」

「この前の戦で袁紹を下したが、ヤツの軍を潰さずに逃してやったろう」

「あー、そういえばそうでしたねぇ。何でなのかスゲェ不思議だったけど、何でだったんです?」

「実は密かに進めている計画があってな・・・お主には、話しておかねばなるまいな」

「計画ぅ?どんな・・・?」

「最終目的から言えば・・・元譲を独立させ、わしらがその傘下に入る、ということなのだが」

「・・・・・・はぁ?何のために?」

「元譲を主君とし、わしが臣下となる。そのためだ」

「いやだから、何のためにそんな変なことをするんですか?」

「元譲にな、・・・とある命令を下してもらいたいのだ」

「・・・命令ぃ・・・?」

「その内容は知らなくとも問題はない。というか、知らぬ方が良いと思う」

「んー・・・まぁ、殿がそう言うんならそーなんでしょーね・・・俺も知りたくなくなりました」

「賢いな、妙才」

「慣れてますしー・・・。で、袁紹のことはどーしたんです?」

「ああ、それはな・・・あやつにこの計画を手伝わせるために生かしておいたのだ。
 元譲を独立させるときに、確実な援助が必要なのでな。
 袁紹は最早わしに逆らえん。逆らえば潰されるとわかっておる」

「あー、それでその協力要請の書状、ってワケですか」

「そうだ」

「でもこんなに心配して戦場にも出さないのに、よくまぁ独立なんてさせられますねぇ」

「させられぬからこその書状よ。これと同様の策を周囲全ての勢力に向けて実行中だ」

「・・・・・・なんですかその根気は。すげぇなぁ・・・」

「曹孟徳、男の夢よ。ふっふっふ・・・」

「俺らってそのために戦してたんですか・・・はぁ」








後日。


「袁紹様!曹操軍からの使者が参りました!」

「そ、曹操からっ?!・・・よ、よし、通せ!」

曹操の名を聞けば蘇る。
勝者の笑み、というにはあまりに邪悪かつ迫力満点な、あの笑顔。
そして命を助ける代わりとして突きつけられた要求。
『これから先は我が命に従え。違えれば、次はない。良いな、袁紹?』

隣国の圧力を受けて半ば傀儡政権と化し、最近は曹操の手足となっていいように使われている。
あそこを攻めろ、どこを脅せ、云々。
今の袁紹にとって、曹操からの使者は悪魔に等しい。

今回は一体どんな無理難題を突きつけられるのか・・・!
震え上がりながら迎えれば、使者は袁紹もよく知る夏侯惇だった。

「お、おお、夏侯惇か!遠路はるばるわざわざご苦労!」

精一杯の余裕を見せる。
夏侯惇は会釈もせずにいきなり書簡を放って踵を返した。

「これを渡せといわれた。俺は知らんが、急ぎの用件だと思う。・・・ではな」

流石は曹操の従弟。勿論あの性格を知ってはいたが、改めて思った。ひどい自由人だ。

「・・・急ぎの用件」

たらりと冷や汗を一筋たらし、恐る恐る中身を開く。
と、そこには。

『袁紹。
 我が軍の次よりの戦は失敗が許されぬ。
 故に、貴様のような弱小勢力に頼むのは心もとないが、毎回援軍として将を一人派遣してもらいたい。
 それから、元譲が使者として来た場合は必ず見送りの者をつけろ。必ずだ。
 以上を怠れば即刻攻め潰す。覚悟しておけ』

援軍を派遣するのは構わない。そのくらいのことで済むのならいくらでも従おう。
ふぅ、と息を吐いてその先に視線を進め、悲鳴を上げそうになった。

見送り?!せめつぶす?!

まずい。まずすぎる。
夏侯惇はとうに出て行ってしまったのだ。

「お、おい!!誰でも良い、今すぐに夏侯惇を追え!!追いついたらそのまま曹操の元へ送り届けろっ!!!」

裏返った声で命令しながら、いつまでこの地獄が続くのか・・・もういっそ一息に潰して欲しい、と思う袁紹だった。

















 





この後でげんじょたんが家出したときも袁紹は影で援護させられてました。
山に入ったときに見失っちゃうんだけどね!!(どうでもいいよ)


 
2011/09/10


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