舞台
思い、魂、咆哮に乗せるのみ。
ただひた走る足の感覚やなし。
何故にか携えた得物の破る敵(かたき)のからだのかろきこと。
「武勲を急く者、これにまいれ。
関雲長がただ一人にて相手仕るぞ。」
くわと開いた眼は白く赤く敵をおどかす。
のけぞりくずれ逃げ去る敵が関羽を円に囲む。
・・・こぬのか。
開きに開いた大きすぎる眼(まなこ)は、その姿を見出せない。
・・・こぬのか・・・!
焦りをいらだちに変えた関羽のひとなぎは、五も十も首をはねとばす。
きてくれ!!
天に向かって再び咆哮した。
この関羽が望む死を与えられるのは、あの将ただ一人だ。
・・・関羽・・・!!
雨の音を裂いて、遠くから聞こえたこの声は。
ああ、きたか、我が愛しい死神よ。
さあ殺せ。
天は我ら二人のため、最上の舞台を用意し給うた。
樊城大好き!
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