恋になるまで10題(毛嫌い編) ・・・で、羽惇。
お題は、アイロニーからお借りしました。
1 : 「好きか嫌いかで言ったら、死んでほしい」
2 : 「あーもー見てるだけでムカつくね。いや見てないけど」
3 : 「ピカレスクの主人公気取りか」
4 : 「…んだよ、何か文句あんのか」
5 : 「本気の恋、したことないだろお前」
6 : 「…目障りな奴だ」
7 : 「しょうがないから、助けてやるよ」
8 : 「そいつに、触るな」
9 : 「離せ…!…っそ、誰かー!ここに誘拐犯がいま」
10 : 「本気の恋なら、今してる」
一個一個、毎日パソコンに向かってからその場その場で書いたので、話がつながらない箇所が結構ありますが、軽く流してください。
下からどうぞ〜。
○一つ目 2005/04/08(金)
軍の第二の支配者と言われている、夏侯惇将軍の気分が反映された空気。
常に、魏軍はそれを呼吸するわけで、誰もが異変には敏感だ。そうならざるを得ない。ここに
おいて、その機敏さは、一種の保身術として体得するものだった。
よって、皆が皆、何だか穏やかじゃないなぁ、と思っていた。
夏侯惇の不機嫌の理由は、今回は結構はっきりしている。しかも、わかりやすい。
いつもは人に柔らかく接する態度が、関羽にだけはやたらに厳しい。
ああ、夏侯惇将軍も人間なんだな、嫉妬なんて感情を持ってるなんて。
皆が変な親近感を抱くほど、それは顕著だった。だから、皆が皆夏侯惇の逆鱗に触れることを怖れて、関羽には近づきたがらなかった。
「惇兄が、こんなに誰かを嫌うなんて、珍しいことだよなぁ」
夏侯淵が、ニヤニヤして言う。
「・・・別に珍しいわけではない」
「そんなこたぁ、ないと思うけどなー。殿も罪作りだな〜」
愉快そうに笑う。
「あのな、そこで孟徳が出てくるのはおかしいだろうが」
「おかしいって、何言ってんだよ。殿が関羽のコト気にいってんのが、ムカつくんだろ?皆そう言ってるぜ」
「気に入ってるのが嫌だとか、そういうことではなくてだなー・・・」
「ま、いいって、それでもさ。新入りにデカい顔されて苛々してんのは、惇兄だけじゃないしな。俺だっていい気分じゃない」
「それはそうだろう」
「でさー、惇兄は実際、関羽のことが嫌いなわけ?少なくとも好きではないだろうけど」
「そうだな・・・好きか嫌いかで言ったら、死んでほしい・・・な」
「・・・・・・そこまで言うんだ」
「言う」
「理由は殿関係じゃないんだろ?」
「ああ。何だか、全てが気に食わない」
「あ、そ・・・」
ーー惇兄のお気に召さない範囲の定義がわかんねぇよ・・・
変な親近感は、『やっぱり惇兄は惇兄』という感想にかき消された。
○二つ目 2005/04/08(金)
関羽自体にはもう飽きたが、このまま夏侯惇が不機嫌だと、自分らに天災が降りかからないとも限らない。
自称紳士の張遼は、魏軍代表で夏侯惇宥め係に就任した。
「夏侯惇殿・・・先日は関羽殿と派手に斬り結んだらしいな」
「ああ」
「関羽殿の腕はいかほどだった?」
「まあ、普通だな」
「・・・武神の異名をとる御仁を捕まえて、普通とは恐れ入る」
「実際、一度も斬られる気がしなかったぞ。お前の方が、よほど強そうだ」
「それは恐悦至極、と言っておこうか。しかし、手加減していたことも考えられよう」
「それは甚だ不愉快な推測だな。面は赤色、腹の底は真っ黒の、武名に溺れし男とは、全く誉めどころを探すのに苦労させられる」
「・・・いや、そうは言ってないが」
「いずれにせよ、興味の外の話だ。どうでもいい、の一言に尽きる」
「・・・それならば、関羽殿を相手にするのは止められればいいではないか・・・」
ボソッと零したが、夏侯惇の耳はその声を拾った。
「己の君主がな、口を開けば関羽関羽とうるさければ、相手にせぬわけにもいくまい。無視して済まして良いのならそうする。お前が孟徳に訊いておけ」
「そうはいかない・・・だろうな。わかった」
「それならば、せめてお前くらいはあいつ以外の話題を提供しろ」
○二つ目の続き 2005/04/09(土)
「・・・・・関羽殿とて、良いところを持った御仁と思うが」
「列挙してみせろよ」
「・・・・・強いとか」
「さっき言っただろ」
「義に厚い」
「それにも疑惑が浮上しただろ」
「・・・・・美髯?」
「・・・お前も、関羽のこと嫌いなんじゃないのか?」
「いや、滅相もない」
「にしては、やけにぞんざいな扱いだな」
「で、美髯はどうだ?」
「どうだ、と言われても」
「あえて言うなら、どう思う?」
「見るだに腹立たしいのは変わりないな」
「やはり注目しておられるのか」
「いや、特に注視してはいないが」
「・・・・・」
「関羽の一部分ということで価値が下がっているというか、見たくもないというか」
「・・・そう、か・・・」
宥め係としての役目は、万年経っても全うできそうにない。
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2 : 「あーもー見てるだけでムカつくね。いや見てないけど」です。
これが本当の毛嫌い!!(ウルセェ)
今回は、惇兄=立場的には軍中最強、というのが基本方針でーす。
○三つ目 2005/04/09(土)
「先ほど夏侯惇殿と話してきたが、相当嫌われているな」
張遼が言った。
「・・・・・やはり・・・な」
関羽の顔に影が落ちた。
「夏侯淵殿の話だと、全てが気に入らないといわれたそうだ。同情するぞ」
「・・・努力する価値はあると思うか?」
「さて・・・夏侯惇殿はかなり手ごわいと思うが・・・他の人間に対しては、優しい御仁であるのだ。少なくとも、今の位置から抜け出す手段はあるやもしれぬ」
「夏侯惇殿、先日は失礼いたした・・・軍の重鎮に刃を向けるなど、あるまじきことを」
「今更何を言っている。大体、貴様は俺が斬りかかったのを、反射的に防いだだけだったろうが。そんなくだらないことを気に病まれても、鬱陶しいだけだ」
謝罪したのにこの始末。ショックが、関羽の心臓に痛みを走らせる。
「か、夏侯惇殿・・・何ゆえ、拙者をそうも嫌われる?」
「まず、貴様の大事な義兄弟の劉備のことが嫌いだ」
「・・・左様か・・・」
「別に貴様が、侠だとか義だとか言ってあいつのやり方に従うのは勝手だがな、弱小なヤツが天下を夢見て美談を作るのが、どれだけ人民に被害をもたらしてるのか、わかっててやっているんだろうな?実際は、先の世まで名を残したいとかいう、卑小なことを目指してるのではないか?確かに美談だもんな、漢室復興を夢見る一介の侠者が、強大な力を有する勢力を相手に奮戦する様なんていうのは」
「・・・・・・そのようなことは・・・」
「別に、劉備神話を信じてるなら勝手にすればいい。どのみち、貴様の全てが気に入らんのは変わらないんだからな」
ーー落涙しそうになる衝動を抑えるのは、こうも大変なことだったろうか・・・
関羽の心に新しい傷が、秒単位で刻まれていった。
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3 : 「ピカレスクの主人公気取りか」です。
ピカレスクっていうのがよくわからないので、使い方間違えてるかも・・・。悪党主人公の社会風刺小説って、説明されてたけど・・・。
時代は特に考えてないんです、エンパかもしれないし・・・。だから、変なところも出てくるかもだけど、そこはそれ、莞砥己の文ですから・・・(最強の言い訳のツモリ)
今回は、惇総受から離れて、羽惇オンリーで。
○四つ目 2005/04/10(日)
「何だよ、何か文句があるのか?」
俯いて小刻みに震えだした関羽に、夏侯惇が言う。
「・・・・・・いえ」
関羽は気持ちを落ち着けて、正面を向いた。
「・・・他には、拙者のどこが気に食わないと?」
「全て・・・その態度、中途半端なこだわり・・・あと、そのムダに長い髯も」
「・・・やはり、貴殿は曹操殿のお気持ちが拙者に向いているのが気に食わな」
「ついでに言っておくと、そういうことを平気で口にする神経も気に入らんものの一つだな」
「・・・失礼仕った・・・」
「そこで間髪入れずに謝るところも、気分が悪い」
結局、存在が気に入らないということらしい。曹操が(少なくとも今は)誰よりも執着している存在というのが。
ーー曹操殿も迷惑なことをしてくれる。好意を持っている相手に、直しようのない理由で、一方的に嫌われるほど辛いこともあるまいが。
ここまで嫌い嫌い言われたら、自分も嫌いになるのが普通だが、関羽の愛情の深さは普通じゃなかった。気持ちの悪い話だが。
「・・・拙者には、貴殿の全てが好ましいのだが・・・」
思わずこぼれた出た一言は、夏侯惇を十歩ほど退かせた。
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4 : 「…んだよ、何か文句あんのか」です。
関羽は惇兄にベタボレ、を前提に。それにしても惇兄偉そう。いつもとは別のノリで・・・(別かな?)
続きですよ。
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